ティーン・ザ・ロック
「葉瑠、葉瑠は彼氏とか出来たー?」
幸せです。幸せすぎて、みんなにも幸せになって欲しい位、自分は余裕があるんです。
そんなオーラを振りまきながら、留美が笑顔で尋ねてくる。
「なんかー雰囲気変わって大人っぽくなったし。
彼氏の一人や二人くらい居るんじゃないのー?」
ここに来てもう2カ月…。
確かに前とは違うかもしれない。
でもそれは留美が予想する様な、浮かれた理由なんかじゃない。
レクリエーションから2週間が経ったが
レクリエーションに行く前よりも、ずっとずっと風当たりはきつくなっていた。
物が無くなる事は日常茶飯事だったし、誰もがあたしの存在を無いものとして扱った。
庇っていた男子達も、ここまで女子からの評判が悪いと近づく気にはなれないらしい。
それでも変わらず接してくれるのは、巧実君と杉澤君だけだった。
心を病む事無く頑張れるのは、きっと二人のおかげだと思う。
…いや、きっと 杉澤君が側に居てくれるからだ。
彼は一人きりで行動するあたしを見て、一緒に居てあげたいと思ったと言った。
でも、林田の事があるからと、公の場では出来るだけ関わらない様にした方がいいとも言っていた。
ちょっとだけ寂しいけど
そう思ってくれたってだけで浮上できるのは、やっぱり恋の力だと思う。