ティーン・ザ・ロック
何故かは解らないが、あたしは彼…杉澤君に惹かれていた。
恋愛感情としての物ではない。
そんなものより、もっと、もっと深くにある感情が、何かを感じ取っている。
そんな感じがした。
そんな事を考えている間に、最後まで自己紹介が終わった様だった。
再び教卓に立つ担任。彼は着々と仕事を進めていく。
「じゃー委員会やら学級委員やらを決めていくんだが…。
先ずは委員長だな。誰か、立候補は?」
みんなやる気は無いらしく、先生から目線を反らしている様だった。
無論、あたしもその一人だ。
「居ないか?なら、推薦は?」
やれやれ と言った感じの口調で、妥協案を提示してくる。
そこでざわめきを取り戻す教室だったが、相変わらず誰からも意見が出る様子は無い。
…と思っていたら。
「はーい!逢坂さんが良いと思いまーっす!!」
まさかの指名。この声は、振り返らなくても分かる。紅葉だ。
「彼女、外部受験しですし。学校に慣れてもらうためにはまず、皆を見渡せる立場に立つことではないかと思う訳です先生!」
「ちょ…紅葉ー!!」
溜まらず、睨みながら後ろを向いたが 紅葉はにやにやとするばかりで反省する様子など無い。
「何だ、夏目ももっともらしい事を言えるんだな?
だったら、逢坂で決定で良いか?」
せめて、周りの反応を伺う前にあたしに意見を尋ねて欲しかった。
周りは周りで、自分に厄介な仕事を押し付けられなくて済んだという
喜びに満ちた視線と拍手をあたしに浴びせてくる。
…満場一致なら、嫌だと言えるわけがない。