ハルジオン。
「五月……二日」

達也はもう一度手紙を天井にかざした。

八年前、確かに達也は靖之と百合子の三人で神社に向かい、境内の裏にあるものを埋めた。そんなことなどすっかり忘れていたはずなのに、手紙を読んだ途端にその時の淡い記憶が蘇ってきて、頭から離れなくなった。

大きな銀色のアラレ缶。

泥だらけの手、靖之の笑顔。

百合子の笑い声。

色あせた記憶の欠片たち。

「タイムカプセル……か」

達也はゴミだめのようなアパートの床に手紙を放り投げ、ごろりと横になって瞼を閉じた。

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