ハルジオン。
「……ないよりはマシか」

雑木を下りていくと、意外にもアキトがついてきて、近くの岩に腰掛けた。

達也は小川の水をすくい、一口飲むと、そのままどっかと川縁に腰を下ろした。

静寂の中、どこからともなく鳥のさえずりが聞こえてくる。

「……」

アキトは喋らない。

「……たく」

とうとう痺れを切らした達也は、頭をボリボリと掻いて切り出した。

「お前さ、願い事とか決めてんのか?」

「……?」

微かにアキトの顔が揺れた。

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