ハルジオン。
達也は、少し前をもどかしそうに歩く少年の背中をじっと見つめ、

「……違うな」

と顎を上げた。

やはり、アキトには心に決めた願い事があるのだ。


達也の観察に気付く様子もなく、アキトは手に赤いテープを持ち、時々立ち止まっては木の幹にそれをマークしていく。

「何だそれ?」

「目印」

素っ気ない返事が返ってくる。

この螢の森は一見何もないただの森のようだが、よく見ると獣道のような山道が延々と続いている。

どうやらその道のどれかが螢の泉に繋がっているらしいかった。

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