ハルジオン。
緩いカーブを描く線路と枕木が、敷石の隙間から伸びた雑草と混ざり、初夏の風に揺らめいている。

二年前と同じ。

……いや、

何年経っても色あせない風景だった。


「あ、来た」

百合子の声に意識を戻すと、二両編成の列車が近づいて来るのが見えた。

ほどなく車輪を軋ませて車両が停車する。


「……じゃあな」

ガラガラと唸り声を上げている列車のタラップに足をかけ、達也が吹っ切れたような笑顔を向けた。

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