ハルジオン。
「なんだこいつ?」

達也は首を傾げ、もう一度腕時計に目を遣った。

放っておこう。

相手にしていたら帰れなくなる。

「いつからいたのか知らねーけど、早く帰らないと日が暮れるぞ」

余計なお節介とは思いながら、達也は少年に声を掛けて洞穴を出た。

林の奥に霧が広がっている。

「……おかしいな」

雨に濡れた枯葉を踏みしめ、達也は辺りを見回した。

夜霧が出るには早すぎる。何より陽射しが夕方のそれとはまるで違う。

これじゃまるで……

「朝だよ」

と、再び背後で声がした。

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