剣と日輪
 政界復帰した元A級戦犯岸信介の周旋により、
「保守合同」
 の大花火が打ち上げられんとしていた。
「政治の時節」
 が来たらんとしていたのである。
 公威は、
「複雑(ふくざつ)怪奇(かいき)な政争に打って出るには、己に欠けるもの、強靭(きょうじん)でしなやかな体力と胆力(たんりょく)が、必要不可欠だ」
 と把捉(はそく)していた。
(この雑誌に、電話をかけてみよう。そして未来への扉を押し開けるのだ)
 扉の向こうは無限大であると共に、危地(きち)でもあろう。公威は取っ手を抉(こ)じ開けるしか、選擢(せんたく)できなかったのである。
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