狼クン達のオリの中【完】
綾瀬家のお洒落な門を前にして、へたりこむ。


「やっと・・・着いた・・・」


これを毎日するのは、無理!!


明日から、あたしも送り迎えして欲しい!!


ここは一つ、綾瀬優にでも頼んでみよう。


それがだめなら、自転車でも借りるか?


ぜいぜい、口で呼吸をするあたしの上、キンキンした声が降ってくる。



「あーら。
お早いお帰りですこと!」


癇に障る声にイラっとしながら見上げた先には、あたしを見下ろす鈴奈の姿。


「何?」


出来る限り不機嫌な顔を作って、鈴奈を睨む。


「あー。
怖い顔!
そんな顔する人には、教えてあげないもーん!!」


「は?」


「涼くんから伝言・・・あるんだけどな~」


「え?」



綾瀬涼から?


『涼』の言葉に、あたしの心臓は跳ね上がる。


そして、今日も学校で無視された事を忘れてしまう。


なんだろう・・・?

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