泣かないで。
「なっ・・・あなた。なんてこと」
「あっ・・・・」
あたしは、頭の中が真っ白になった。
クラッ...
「っ・・・・」
ばたんっ
あたしは、倒れていた。
「実柚!!!」
誰・・・?
誰かがあたしを呼ぶ声がする。
優月?
優月なの?
「・・・ゅっ・・・・き」
保健室のベッドにあたしはいた。
真っ白な布団の上に黒い髪が揺れていた。
「優月・・・」
あたしは、目が完璧に覚めたのだと感じ体を起こした。
「実柚・・・!!」
優月は急に立ち上がるとあたしの名前を呼んだ。
優月はあたしのことを呼び捨てで呼んでいた。
あたしも、優月のことを・・・。
「ありがとう」
とっさに出た言葉だった。
「ごめんね」
君が口にした言葉。
許さないはずだった。
許せない人だった。
憎かったんだ。
苦しかったんだ。
痛かったんだ。
辛かったんだ。
「悲しかったんだ・・・」
あたしは、瞳から大粒の涙がこぼれていた。
これ以上なにも話すことはなかった。