図書室ではお静かに~甘い声は唇で塞いで~【完】

黒いシミは広がって


「ちょっ、お前、どうしたんだよ?」


蓮の問いかけに欄は顔を上げた。


「振られたぁ」

「はぁ?なんで」


欄は唇をかみ締めて言う。


「二股よ?信じらんない!このあたしをっ!」


蓮はあきれたようにため息をついた。


「お前ねぇ」

「しかもダブルブッキングよ!イブの夜に!」


蓮の言葉をさえぎり欄が叫ぶ。

さすがにかわいそうになり、蓮は欄の頭を撫でた。

欄の顔がとたんに崩れる。


「蓮~、慰めてよぅ」


甘えるように欄は腕を体に絡ませた。

けれど蓮は小さくため息をついてその腕を優しく解いた。
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