涙の宝器~異空間前編
それでも立ち上がりまた走り出した。
「んっっなんだ!?」
ドアの辺りで何かが光り輝いている!
何かが引っ掛かっている。
さっき彼女がドアで引っ掛けたんだろう。
そのせいでカタカタと音が響く。
突然俺の左腕のブレスレットが光った!
それはあの光りと同じだった!
まるで引き寄せ合うかのようだった。
「運転手さん!
あの光ってるやつ取れませんか!?」
運転手はドアに手を当てた。
防御装置が反発してきたが、手を貫通させてドアの外側に引っ掛かっていた光ってる何かを無理矢理取り出した。
やがてその光りは車内全体に広がる!!!
脳裏に様々な映像が蘇る。
『麻衣とデートを楽しむ俺…』
『麻衣と料理を作る俺…』
『泣く麻衣を強く抱きしめる俺…』
『ひざ枕をしてくれた麻衣から耳かきをされる俺…』
『ケガをした俺に手当を施す麻衣…』
『一緒にした花火で光り輝く俺と麻衣…』
『ソファーで眠りながら寄り添う二人…………』
…………………記憶が!!
俺は全てを思い出した!
俺、『重森涼』と『田中麻衣』は、結婚を約束していた。
(麻衣!!!)