お伽話をキミに。
並べられるのは龍ちゃんのイメージからはかけ離れた言葉たち(だって見た目魔王みたいなんだよ)。
でも、何でかそれには嫌というほど重みがあって。
まるで自分が経験したような口振りに、俺は思わず黙って言葉の続きを聞き入れた。
「誰の目にもわかる"特別"じゃねぇと意味ねぇぞ。特にお前の場合はな」
「俺、は…?」
わかるか?と言いたげに鋭い睨みをきかせる龍ちゃんに俺は首を傾げる。
何で特に俺はなんだ?他の人はいいってこと?
わからないと素直に視線を投げ返せば、龍ちゃんの口からは今日一番の溜息が零れた。