お伽話をキミに。
せっかくさっさと推薦もらって受験勉強から解放されたのに、取り消されたらたまんねぇよ。
そんなことになったら俺の王子としての歴史に汚点が出来る!
「もっと早く言えよ!郁出したの!?」
「出した。もたもたしてるお前が悪い」
俺が声を荒げて怒るも、郁は少しも気にした様子なくまた漫画を読み始めた。
…くそっ!!
ぜってぇその漫画、後で燃やしてやるからな。
「覚えとけよ!!」
俺は郁に向かって負け犬のような台詞を残すと、鞄の中に見えた必要書類の入った茶封筒を引っ掴み大急ぎで教室を後にする。
向かう先は担任がいるであろう職員室。
動揺する心臓を抑え、俺は足早に職員室への道を進んでいった。
まさかこの先で君と出会うなんて知らずに。
act1*end