お伽話をキミに。
《恋する瞬間》
わたわたと慌てながら懸命に話す彼女を見つめる。
見れば見るほど、惹き付けられる魅力が増えていった。
白雪姫のように陽に焼けていない白い肌。
グロスとかつけるわけじゃないのに潤ってる唇。
鎖骨の上にぽつりと浮かんでる小さな、ほくろに綺麗に切りそろえられた爪。
…何で俺こんな魅力的な子のこと知らないんだ…?
知っててもおかしくなさそうなのに。
「あの…水無月、くん…?」
「え、あっ…はいっ!!」
何の音も耳に入っていなかった俺は、彼女が呼んだ自分の名前に漸く思考を取り戻す。