お伽話をキミに。
でも無理。
止めらんない。
だって目の前には恥ずかしそうに頬を掻く彼女がいるんだもん。
「えへへ…でも、本当にすみませんでした」
照れたように笑いながらも、申し訳ありませんでしたと律儀に頭を下げる彼女。
その謙虚な姿にまた、きゅんってなった。
「本当、気にしないで?急いでたんでしょ?」
「……あ!そ、そうでした!!す、すみません!私行きますね?」
俺の言葉にハッと急いでいた理由を思い出したのか、彼女は落ちてきたとき横に飛んでしまっていたらしい茶封筒を拾い上げると慌てた様子で俺に頭を下げる。
かと思ったら勢い良く職員室に繋がる廊下を走りだした。
……これ逃したら、次いつ会えるかわかんない、よな…?