お伽話をキミに。
俺の言葉に首を捻りながらも龍ちゃんは家の中へ俺を案内する。
通されたリビングでソファーに腰掛ければ、龍ちゃんがホットココアをいれてくれた。
「ほら」
「………なぜにココア?」
「悠斗だから」
悠斗くんはお子ちゃまだからなぁ〜と意地悪く口の端を上げる龍ちゃん。
自分はブラックコーヒーかよ。
相変わらず俺を子ども扱いする龍ちゃんは、俺と向かい合うように反対側のソファーに座りコーヒー片手にメールを打ち始めた。
「俺、もう15なんだけど」
「わざわざ学校で王子キャラ使ってる奴なんざガキ同然」
口を尖らせながら文句を言えば、龍ちゃんは喉の奥で小さく笑いパタンと携帯を閉じる。