お伽話をキミに。
うん、そりゃそうだよな。
わかってんだけどさ。
わかってんだけど、でも気になるんだよ!
俺との会話もそこそこにまた雑誌を読み始める郁。
俺はそんな郁をじっと見つめてみた。
大きすぎず細すぎない、二重の目にすっと筋の通った綺麗な鼻。
形のいい薄い唇。
…いや〜…郁って男の俺から見てもかなりいい男だよな。
その辺の男子なんて太刀打ちできねぇよ、絶対。
「……んだよ」
「いや、郁ってやっぱいい男だよなぁと思ってさ」
じーっと観察しながらそう言えば、郁は心底嫌そうに顔を歪めた。
なんだよ、その顔。
っつっても殆どいつもと変わんないけどな。
ちょっと眉が動いたくらい。