強さと弱さと君と僕。

「あ、どうも・・」
彼女はそう言って、僕にお辞儀をした。
僕もそれに合わせてお辞儀をする。

「何年生ですか?私は1年です」
彼女が、僕の席の隣に座り僕に訊く。

「僕もです」
「本当ですか?何組ですか?」
「えっと、2組です。君は?」
「私は1組です」
彼女も驚いた顔をした。たぶん僕も驚いた顔をしたと思う。

「同じ学校の人、初めて見ました」
そう言うと、彼女は腕時計を見た。
「あと2人居ますよ。もうそろそろ来るんじゃないかな」

ホームに音が響き、沢山の人が電車に入ってくる。
「ほら、来ましたよ」
彼女が指差す方向から、確かに僕達の同じ制服を着た男女が走ってきた。
「ちなみに同じ1年生ですよ」

2人は何とか電車に入り込み、電車は発車した。
僕達は、それからお互いのことをなんとなく話した。
彼女の名前は「繭」ということ。
僕のことは前から知っていて、声をかけようか迷っていたということ。

そんなことを話しているうちに、電車の中の人は減っていった。


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