強さと弱さと君と僕。

彼はいつも本を読んでいる。
しかも、ほぼ毎日同じ本を読んでいる。
同じ本しか持ってないのかな?
話しかけてみよっかな・・・。でも人見知りっぽい。

そんな迷いをしている内に、彼と目が合った。
茶色い瞳に、あたしは目が離せなかった。

彼の名前は「和」ということを知った。
隣のクラスということも知った。
不思議な感じがした。初めて話したのに、初めてじゃない気持ちがした。

あたしが質問をして、彼が答える。
次に彼が質問して、あたしが答える。

少し間があいたときに、あたしはこう言った。

「今日、一緒にお弁当食べませんか?」

彼は、驚いた顔をした。
そして少し、眉を下げた。

「あ、友達と食べるなら大丈夫ですよ」

すると彼は、すいませんと言った。

正直、こんなことを言った自分に驚いた。
あの頃の自分に戻ったような、そんな気がした。
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