しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
「ミウちゃん、でしょ?」
首を横に傾けながら、机の右上に張られた紙を指差した。
ああ、そうか……これを見たんだ。
「うん。『キサラギ・ミウ』よろしくね」
彼女の柔らかい微笑みに、さっきまでの緊張感はどこかへ吹っ飛んでいた。
ようやく彼女に笑顔を向ける事ができた私は、彼女に右手を差し出した。
笑顔で握手を交わす。
「美羽ちゃんはさ、どこの中学から来たの?」
早速私の前の席に座り、おしゃべりが始まる。
入学式直後、おとなしく席に着いていたのは私ぐらいで、周りは皆あらゆるところに散らばっていた。
「あたしは西中からだよ。日和ちゃんは?」
すぐ近くにある、彼女の瞳を見ながら聞くと、
「“ちゃん”は取って」
彼女は口を尖らせながら言った。
「ひ、日和……」
まだ会って間もない相手を呼び捨てにするのは、ちょっと気が引けたけど。私が躊躇いがちに名前を呼ぶと、
「ふふっ、そっちの方がいい」
そう言って、キレイな顔で笑った。