しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~


「心配しなくても、俺が責任もって送ってくよ」


コウ先輩がそう言うと、私の手首をつかむ柊先輩の手に少し力が入った。


「こいつに何かされたら、ソッコー連絡しろよ。ボコボコにしてやる」


ドクンっ!!

今までにないくらい、心臓が高鳴った。

顔の中心に血液が集まり、徐々に頬の温度が上昇していく。


「そんなに信用ねーの? 俺」

「おまえだから信用ならねー」


先輩たちの言い合いなんて、私の耳には入ってこない。


さっきから自分の鼓動の音だけが鳴り響いて、呼吸が苦しくなってきた。

体がフワフワと浮いているような感覚で。


「つーか、美羽」


名前を呼ばれて、とうとう、私の頭から白い煙が出てしまった。


「これからは、“先輩”っつーのはやめろよ」


ボッと火がつく。


『やべー。日和、消火消火』と、コウ先輩の笑い声が遠くに聞こえる。


「壮吾でいいから」






それからの私は、どうやって家まで帰ったのか覚えていない。


コウ先輩に家まで送ってもらったのは確かなんだけど。

帰り道の会話なんて、全く記憶に残っていないんだ。


『壮吾でいいから』

ただ、この言葉が私の頭をグルグル回っていた。





< 105 / 400 >

この作品をシェア

pagetop