しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
「心配しなくても、俺が責任もって送ってくよ」
コウ先輩がそう言うと、私の手首をつかむ柊先輩の手に少し力が入った。
「こいつに何かされたら、ソッコー連絡しろよ。ボコボコにしてやる」
ドクンっ!!
今までにないくらい、心臓が高鳴った。
顔の中心に血液が集まり、徐々に頬の温度が上昇していく。
「そんなに信用ねーの? 俺」
「おまえだから信用ならねー」
先輩たちの言い合いなんて、私の耳には入ってこない。
さっきから自分の鼓動の音だけが鳴り響いて、呼吸が苦しくなってきた。
体がフワフワと浮いているような感覚で。
「つーか、美羽」
名前を呼ばれて、とうとう、私の頭から白い煙が出てしまった。
「これからは、“先輩”っつーのはやめろよ」
ボッと火がつく。
『やべー。日和、消火消火』と、コウ先輩の笑い声が遠くに聞こえる。
「壮吾でいいから」
それからの私は、どうやって家まで帰ったのか覚えていない。
コウ先輩に家まで送ってもらったのは確かなんだけど。
帰り道の会話なんて、全く記憶に残っていないんだ。
『壮吾でいいから』
ただ、この言葉が私の頭をグルグル回っていた。