しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
5月も近付くと、少し走っただけで汗ばんでくる。
肩に提げる鞄が走るたびにずれ落ちてきて、走りながらリュックのように背中に背負った。
鞄の中で、携帯やら筆箱やらがぶつかり合ってカタカタうるさい。
スカートが風で舞い上がろうが、髪が振り乱れようがお構いなしだ。
通勤や通学の時間がとうに過ぎているおかげで、誰ともすれ違うことはない。
それだけが、救いだった。
住宅街を抜け、商店街を全力疾走。
途中で犬にほえられ、角から突然現れた自転車にひかれそうにもなった。
ごめんなさいと走りながら頭をさげ、走って走って、走りまくった。
それなのに……。
学校近くの河原で、むなしくも聞こえてきたチャイムの音。
「はぁ、はぁ、はぁ……。マジで……?」
膝に手をついて呼吸すると、悲鳴を上げる肺が急に痛くなった。
そのまま、地面に崩れる。
「私のこの頑張りは何だったのよ〜」