しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
「あのー」
私の横からひょいっと出てきたコウ先輩。
お客さんを装って、本棚の整理をしていたレオくんに声をかけていた。
「いらっしゃいま……げ」
くるりと振り向いたレオくんが、あからさまに嫌な顔をする。
本を片手に、頬が引きつっていた。
「成人雑誌って、どこにありますか?」
と、恥ずかしげもなくそんな事を聞くコウ先輩。
もちろん、
「黙れっ!! クソ兄貴」
すぐに日和に頭をはたかれて、口を尖らせていたけれど。
「何しに来たんだよ」
声をひそめるレオくん。
「何だその言い方は。 心外だな」
ポケットに両手を突っ込む壮吾が、ブスッとして言った。
「様子を見に来たんだよ。こいつが、心配してたから」
壮吾の顎が私に向くと、『心配?』と、眉間にしわを寄せたレオくんが私を振り向いた。
「おまえがちゃんと働けてるのかって、俺らは心配なんだよ」
「んなの、余計なお世話だよ」
素っ気ない一言を壮吾に向けて、仕事に戻って行くレオくん。
「仕事終わったら、速攻裏に来いよ。駐車場で待ってるからな」
壮吾がレオくんの背中に声をかけると、レオくんは返事をするように、背中越しに右手を上げた。