しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
「いらっしゃいませー」
レオくんのバイト先の自動ドアをくぐったら、明らかにレオくんだと思われる声が一番に聞こえてきた。
これで店長に怒られないのかと心配するほど、暗くて、超棒読みな声だ。
この辺りには、ここだけしか本屋がない。
小さな本屋だけど、中には結構な人が入っていた。
ぞろぞろと中に入る私達に、レオくんは全く気づいていない。
ぶっきら棒に、だけど、すごく真剣に、接客を続けていた。
「カバーつけますか」
「あ、いえ」
「1,155円になります」
言葉に強弱がなく、ずーっと同じ調子。
もちろん、営業スマイルなんてしているわけもなく。
「ありがとうございましたー」
本当に有り難く思っているのか、と、思わず突っ込みたくなるレオくんの声。
だけど――。
レオくんの黒のエプロン姿。
ビューティフル。
接客業としてはいけないことなのかもしれないけれど、レオくんのように美しい男性に接客されたら、どんなに素っ気なくても、どんなに笑顔がなくても、全然いいと思えてしまう。
もっともっと接客をしてほしいって思っちゃうほど、レオくんはカッコよくて、少し大人に見えた。