しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
テントに付けられた、豆電球のみの明るさ。
ほんのりと浮かび上がるグラウンドに、フォークダンスの定番の曲。
気になる相手を誘い、手を取り合う。
はにかむ表情がムードを作る中、私は真っ暗な階段を上り、屋上へと向かった。
今頃、壮吾はどこにいるんだろう。
もう、帰っちゃったかな。
壮吾と、踊りたかったな。
また来年があるなら、夢が持てるのに。
私達が共に過ごすこの1年間の行事は、全て最初で最後なんだ。
楽しい思い出で終わらせたいのに、現実って、厳しすぎる。
「やっぱり、ここにいたんだ」
暗闇の中にぼんやり見えたのは、屋上のベンチに横になっているレオくんの姿。
私の声にのっそり体を起こし、顔をこちらに向けた。
「ここ、静かでちょうどいい」
レオくんの声が、サラサラと風に乗ってくる。
「焼きそば、ちゃんと売れたの?」
「そりゃもう、大好評」
言いながら、屋上のフェンスからグラウンドを見下ろした。
柔らかい豆電球の色に染められたグラウンドは、いつもの雰囲気と違っていた。