しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
「今日、ずっとここにいたの?」
「まさか。それなりに色んなとこに行ったよ」
「ホント。自由で羨ましい」
ハハっと笑いながら言うと、レオくんはフンと鼻を鳴らし
「何だよそれ」
と、目を細めた。
「何だか、猫みたい」
「猫?」
「自由で、気まぐれで、好きなとこに行って、お気に入りの場所でお昼寝」
指を折りながら悪戯っぽく言うと、また、『何だよ、それ』と、呆れ気味に言った。
「猫ねー。なりてーわ、猫に」
「え?」
「自由で、気まぐれ。サイコーだよな」
鼻で笑ったレオくんは、だらんと頭を垂れた。
夜風が、フォークダンスの音楽を運んでくる。
一曲終わって、また次の曲。
遠くで聞こえる、小さなざわつきは、心を和ませてくれた。
と、そのざわつきに混ざって、途切れ途切れな声が、私の耳に入ってきた。
レオくんを覗き込むと、ゆっくりと、かすれる声で、あの日にたまたま聞いたあの曲を口ずさんでいた。