しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~
「あいつの事、頼む」
オレンジジュースのグラスに口をつけた私だけど。
先輩の静かな声を聞いて、そのままグラスをテーブルに置いた。
「あいつ、ちょっと色々あってさ、いつもあんな感じなんだ。無口なうえに無表情だから、全てにおいて損してるというか。人生、楽しんでねーというか」
先輩はそこで言葉を区切ると、テーブルに両腕をついた。
先輩の真剣な瞳が、私をとらえる。
「おまえと知り合ったのも何かの縁だし、あいつの事、見てて欲しいんだ。クラスで一人にならないようにさ」
そう言うと、先輩は優しくほほ笑んだ。
私も『はい』とほほ笑みを返して、もう一度オレンジジュースのグラスに口をつける。
レオくんの事を心配する先輩は、まるで父親のようで。
そのほほ笑みに、心が温かくなった。
『あいつ、ちょっと色々あって』
私がレオくんを変えられるかわからないけれど。
せっかくの高校生活を、楽しく過ごしてもらいたい。
私がダメでも、日和がいる。
少しずつ、距離を縮めていけたらいいな。