しあわせ色の恋~想いよ、永遠に~


レオくんに動きがあった。


ずっと前を向いていて、私の声なんて耳に入っていないって感じだったのに。


私が『付き合うことになった』と言った瞬間、くるりと振り向いたんだ。


それも、すごく驚いたように目を丸めて。


いつも無表情なレオくんのその表情は、とても違和感たっぷりで。


「それ、どっちから言ったの?」


まるで、私達の間だけ時間が止まってしまったようだった。


「先輩……から」


出した声が、微かに震えてしまった。


どうして?

そう聞きたかったのに、声にならなかった。

それだけレオくんが驚いていたから。


「ふーん」


あんなに驚いていたのに、もう興味無さそうにクルリと踵を返すと、ポケットに両手を突っ込んで歩いて行った。



『ふーん』と、素っ気ない言い方だったけれど。

久しぶりに聞いたレオくんの声は、私の耳にしっかりと残った。





< 95 / 400 >

この作品をシェア

pagetop