Last Sound




「拓馬…お前、タイミングくらい考えて入ってこい」


思わず溜め息。



「ね?この人、誰?」

遠慮がちに澪が俺に尋ねる。



「あ、そっか。

澪は初めて会うのか。


俺と朝陽と楽の共通の友達の吉田拓馬。

悪いヤツじゃないんだけど、

ちょっとバカなんだよな」


「バカは余計だな、波瑠斗」



いや、全然余計じゃねーよ。

そう心の中で呟く。



「で、なんの話?

俺にも教えてよ」


なんなんだ、お前は。

拓馬は呆れるくらい図々しく俺たちの輪の中に入ってきた。



「あのね、考えてたの」


呆れて溜め息を零す俺の隣で朝陽が言った。



「考えてた?」


「そう。どうやったら軽音部が作れるか、って。

校長への直談判は失敗しちゃったし、

どうにか私たちの力だけでできないのか、って。」


そうすると意外な言葉が拓馬から返ってきた。



「なーんだ。

そんなの、簡単な話じゃん」









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