Last Sound




朝陽が俺を見て笑った。

俺も笑い返す。


朝陽は俺のバンドの1番最初のメンバーで。

いろんな無理なことにもいつも付き合ってくれて。


拓馬から極度の人見知りだ、

って聞いた時は本当に驚いた。


だって朝陽、俺と初めて会ったとき、至って普通だったんだから。

だからさ、俺、思ったんだ。


朝陽が俺と会っても緊張しなかったのは、

俺と朝陽の出会いが、必然だった、ってことなんじゃないか、って。



俺は客席に目を向けた。


1番前に約束通り、拓馬がいて。

俺と目が合うとニヤッと笑う。


その隣の隣にはバード先輩がいて。

堂々とステージで歌う妹の美雪を嬉しそうに見ている。


そして1番後ろ。

正直、人がいっぱいでよく見えないけど。


だけど、俺には分かる。

エトーが腕を組んで俺たちを見ていた。

エトーの隣には婚約者の沙希さん。


心の中で呟く。

エトー、ありがとう。


俺たちを最後の最後まで、信じてくれて。


エトーがいなかったら、

きっと、今俺たちはここに立てなかったと思う。


我が儘で、勝手な俺たちを

守ってくれて、協力してくれて、


本当に、ありがとう。







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