Last Sound





正直、本気(マジ)になって何かに取り組むことってカッコ悪い、って思ってた。

だから俺は中学でも高校でも部活に入らなかったし、勉強も本気でやらなかった。


ただ1つ。

ギターだけは、ほんの少し、マジになって練習した。


だから、俺の取柄はギターだけで。


いつかバンドを組みたい。

それはギターを始めたころから思っていたことだったけど、簡単に実行できなくて。

それにめんどくさい、そう思ってる節もあった。


そんな俺を何が変えたのかは分からないけど。

だけど、ふと、思ったんだ。


高校生活最後の年に、何か残したい、って。

大人になって思い返した時、

何もなかった高校生活じゃ寂しいかな、って。


だから俺は少し、頑張ってみようと思った。

だから俺は本気(マジ)になってみようと思った。




「気合い、入れなおせよ」


俺の言葉に全員が頷く。



ここまで来て、心の底から思うことがある。


『頑張って、マジになって良かった』

多分、今ごろ気づくのは遅いのかもしれないけど。

だけど気づけて良かった。


何かに一生懸命になるってことは、

最高に、カッコイイんだ。



俺たちは輪になって手を合わせた。



「俺たちにできる、最高の音楽をこの学校に響かせよう。

そんでもって、最高に楽しもう!」


「「「「おー!!!」」」」


全員の声が揃う。

そして俺たちはステージへ走った。


俺たちのことを待つ観客に、

最後の音を、届けるために。














【Last Sound】



―END―






→あとがき








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