Last Sound
「で、坂下楽のことなんだけど」
場所は学校の廊下から近くのファミレスに変わっていた。
「やっぱり、やめることにした?」
どうやら朝陽は相当楽に苦手意識を持っているらしい。
「ごめん、朝陽。
俺、アイツをベーシストとしてバンドに入れようと思ってる」
「どうして?
あんな態度とられたのに」
確かに朝陽の言う通りだ。
だけど、拓馬の話聞いてたらやっぱり俺たちのバンドにアイツは必要だと思ったんだ。
「楽、人に心を開くのが苦手なんだって。
だから俺たちにあんな言い方しかできなかったんだと思う。」
うん、と頷く朝陽だがやっぱりまだ不満らしい。
「拓馬から楽に関する情報いろいろ聞いたんだ。
それを総合するとさ、アイツ…めっちゃ音楽好きなんだ。
音楽好きに悪い奴はいない。
な?そうだろ?」
「…うーん……」
それからしばし沈黙。
そして朝陽は顔をあげて言った。
「わかった。ベーシスト、坂下くんにしよう。
これは波瑠斗くんのバンドだもん。
リーダーの言うことは聞かないとね」
朝陽はニコッと笑ってそう言った。