Last Sound
「…知りたい?」
上目づかいで俺を見る朝陽。
って俺のほうが20センチくらい背が高いから自然と上目使いになっちゃうんだけど。
「いや、言いたくないならいいんだけど。
けど、なんか気になっちゃって」
「あのね、波瑠斗くん…私の初恋の人にすごく似てたの」
「初恋の人…?」
「うん。
すごくカッコ良くて、すごく優しい人だった」
ほんのりと頬が赤く染まる朝陽。
その表情はとても優しく、とても切なさそうで。
「どう…なったんだ?」
少し聞くのは躊躇われた。
だってあまりにも朝陽の目が悲しそうだったから。
でもどうしても気になって。
思い切って聞いてみた。
「好きだ、って伝える前に引っ越しちゃって。
それで終わり。
よくある話でしょ?」
そう言って朝陽はふっと笑ったが、
その笑顔は無理矢理作ったものだと出会って間もない俺でも気づいた。
もしかしたらまだ朝陽は俺に似た、そいつのことが好きなのかもしれない。