モザイク
ごめんねと言えなくて
カナはリビングに戻り、ひとり泣いていた。父親はモザイクに見えるリビングを嫌い、ここには来なかった。たったひとりで俯いていた。
「どうしたらいいの・・・。」
単なる女子高生が、この状況下で何か出来るだろうか。出来るはずもない。カナのどんな考えも現実に打ちのめされていく。
そんなカナの姿を見て、チロルが側に寄ってきた。
「チロル・・・どうしたらいいの・・・?」
チロルを見つめ聞いた。チロルは出来るなら答えたかった。しかし、それは無理な相談だ。もどかしさだけが、チロルの中に満ちていく。
<ごめんな。>
チロルは弱々しく鳴いた。唯一の表現だった。
「そっか、そうだよね。チロルに聞いたって・・・どうにかなるわけないもんね。」
<ごめんな。>
もう一度鳴いた。

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