紳士的なLady



驚いた顔で、架月を見る。



架月は、いつもの無表情だったけれど、とても不機嫌そうで。

いや、不機嫌と言うよりも、怒っていると言った方が正しいだろう。



「本当に、満原馬鹿だな」



架月から大きな声でそう言われ、私はビクッと肩を震わす。



本当に、驚いた。


架月のこんな大きな声、聞いた事が無い。



驚いて、目を白黒させている私から視線を逸らし、架月は自分の髪をクシャリと握り締めながら、はあっと大きく息を吐く。




「助けた奴が怪我無くても、お前が怪我したらダメだろ……」




まだ肩を震わせている私を見たからか、いつもと同じ声の大きさで、架月は話す。






もう、無理。



我慢、出来ない。





架月の声で、喉が、ヒクリと鳴る。

視界が、潤んできた。













「…何で……そんな事、言ってくれるの……?」




ずっとずっと、堪えていた雫が、袴の上にぽろぽろと落ちていく。


< 109 / 312 >

この作品をシェア

pagetop