紳士的なLady
驚いた顔で、架月を見る。
架月は、いつもの無表情だったけれど、とても不機嫌そうで。
いや、不機嫌と言うよりも、怒っていると言った方が正しいだろう。
「本当に、満原馬鹿だな」
架月から大きな声でそう言われ、私はビクッと肩を震わす。
本当に、驚いた。
架月のこんな大きな声、聞いた事が無い。
驚いて、目を白黒させている私から視線を逸らし、架月は自分の髪をクシャリと握り締めながら、はあっと大きく息を吐く。
「助けた奴が怪我無くても、お前が怪我したらダメだろ……」
まだ肩を震わせている私を見たからか、いつもと同じ声の大きさで、架月は話す。
もう、無理。
我慢、出来ない。
架月の声で、喉が、ヒクリと鳴る。
視界が、潤んできた。
「…何で……そんな事、言ってくれるの……?」
ずっとずっと、堪えていた雫が、袴の上にぽろぽろと落ちていく。