紳士的なLady



「そういえば剣。今日遅刻したでしょ?先生に怒られた?」

「別に怒られてないよ」

「遅刻したのに?」

「まあね」




お母さんの顔を見ずに、黙々と煮魚を食べる私。

そんな私の様子に呆れたのか、お母さんは言う。



「全く。そんな女の子らしくないから、彼氏なんて出来ないのよ。女の子にはモテるのにねー」





今は嫌味なんてモノ、軽く聞き流せる。





今日は、人生初の出来事が起こったのだ。

嫌味でも皮肉でも悪口でも、今の私は全て聞き流せる。




「なあに?」

「……やっぱいい。言っても馬鹿馬鹿しいし」



わざとらしく溜め息を吐いてみせ、味噌汁を啜った。

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