紳士的なLady
千波には内緒で、私は鈴音に話を聞いた。
あの状態の彼女と、会話する事は不可能だろうと思ったからだ。
悪いとは思いつつも、昨日何があったのか、それだけが知りたかった。
「千波が昨日の夜に襲われそうになったんだって」
淡々と話始める鈴音。
時折唇を噛んで、涙と嗚咽を必死に止めている。
「部活が終わって帰ってる時に、いきなり後ろから口を塞がれて……。ブラウス破かれて、スカートも……。
身体に傷は無かったんだけど……、千波が……」
ポロポロと涙を零し、肩を震わせながら話し終えた鈴音を、少しでも落ち着かせようと、私は鈴音を抱き締める。
「そっか……。話してくれてありがと。鈴音」
「昨日、電話がきたの……。千波が、剣に悪い事しちゃったって……。泣いてた……」
「うん……。大丈夫。ちゃんと、話してみるから」
私が悪いんだもの。
押し付けがましいようだが、今は千波の傍に居たい。
鐘が鳴って、鈴音はゆっくりと身体を起こす。
「私、千波の所に行って来る!」
「分かった。鈴音は千波の傍に居てあげて」
「後で剣も来てね!」
タタタッと走り去る鈴音の後ろ姿を見送りながら、私は声を出す。
「架月。もう、出て来なよ」