紳士的なLady



顔をしかめたまま、私を見る架月。



「まだ帰ってなかったんだ」



心配をかけたくないからか、妙にカラカラと、元気なフリをする私。



「お前まだ病院行ってねーだろ」

「あー……。何か皆忙しそうだしね。それに、結構痛みが引いたからもう大丈……痛っ!!」





突然右手首を掴まれ、思わず漏れてしまった“痛い”。




「全然引いてねーじゃん」

「架月が急に掴むからでしょ?!普通にしてても痛いんだから!」




ヤバイ。

大声出すと痛くなる。



本当ならもっと言ってやりたいところだけど、今は止めておこう。




「満原」


ポツリと聴こえた声。




「何」




痛まないようにと、なるべく小さな声を出す私。





「今から病院、連れて行ってもいいか?」

「何で架月が聞くの」

「お前が痛そうにしてるから」

「ふーん」




素っ気無くて、可愛げのない言葉しか返せない。




もっと、素直に言えたら良いのに。


可愛くない。



< 295 / 312 >

この作品をシェア

pagetop