春も嵐も
*゚。弥生Side。゚*

嵐が引きこもってから、1週間が過ぎた。

「嵐、ご飯は?

今日は嵐の好きな親子丼だよ!」

ふすま越しに、できるだけ明るく声をかけた…けど、返事は返ってこない。

嵐は、お父さんの子供じゃなかった。

お父さんの子供じゃなくて、藤見のお嬢の父親の子供だった。

あたし的にはよかった話だった。

お父さんの子供じゃなかったから。

あたしと姉弟じゃなかったから。

けど、嵐は心の底から傷ついていた。
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