春も嵐も
「あたしの場合は、美波がまさにそれだったな。

必ずと言っていいほどクラスが美波中心で、周りにはたくさん人がいてさ」

「そうそう。

そう言うヤツがいると、学校行事はそいつのところがすごいみたいな」

「アハハ、そうだったよね」

「文化祭はそのクラスだけ売上上昇、目標数一気越え」

「ハハハ…」

ひとしきり笑った後で、弥生はシュンと表情を曇らせた。

「けど、何となくうらやましかったりもしたんだ」

呟くような小さな声で、弥生が言った。

「美波の周りはいつも友達がいっぱいで、笑い声が耐えなくて…男の子も、美波のことを何だかんだ言ってても、好意を寄せてる人はたくさんいたわ」

そう言った弥生の表情は、悲しそうだった。
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