桜の見える丘(仮)
気がつくと…力強いしっかりとした腕の中にいた。
「…なにするかわかんないって言ったでしょ?」
ちょ…そんな風に言われても…
この状態ってどうしたらいいの…?
「あ…えっと…純君?」
「“君”なんてつけんな。…次はおでこじゃなく、その口にキスするよ…?」
私を見降ろして、真剣な目で見てくる。
冗談…だよね?
冗談に決まってる。
「もぉ…何言ってんの!!離しなさい!」
なぜだか口調が先生口調に…
そのついでに、ペシッとおでこを叩いてやった。
「…っは…もう、美姫ちゃんにはかなわないや。」
眉毛をハの字にして少し笑う。
「まぁー…鈍感すぎってのも困りものだね。」
「え?何?」
ボソボソっと言った声は聞こえなかった…
結局なんて言ったのか教えてくれなかったし…
力強く私を抱きしめていた腕は緩み、私はその腕から抜けだした。