桜の見える丘(仮)
「あんなとこに一人でいやがって。こんなとこ来たらナンパしに来た奴らがいないわけがねぇだろ。お前…可愛いんだし…。」
照れながら最後の言葉を言う。
か…可愛いって…可愛いって言われたよ!!
神谷にぃぃぃぃ!!!
自然と口角があがってしまう。
「矢田が上着取りに行ってたとか言ってたけどさ…お前もついて行けば一人にならなくてすんだじゃねぇか。なのにあんなところで…って…お前人の話聞いてねぇだろ!!!」
私がニヤニヤしてしまうのをどうにかやめようと必死だったときに神谷はこちらを見ていたらしく…。
また怒らせてしまった…。
でも…私には『可愛いんだし…』の余韻が残っていて…。
「神谷…ごめんね?私…神谷がそんな風に思ってたなんて…考えもしなかった。」
「………。」
神谷はなにも答えず、私の方を見ようともしない。
「神谷が…助けてくれてほんと嬉しかった。男らしくて…かっこいいって思った。あんなナンパ野郎に彼女を待たせる彼氏より俺らの方がいいって言われた時…ムカついた。神谷のこと何も知らないくせに…お前らに言われる権利ないんだよ!!!って…。」
そう言いながら、私に背を向けて座っている神谷の手を両手でキュッと握る。