桜の見える丘(仮)

「気付くって…寝てるようにしか見えない…。」


何度見ても、寝てるようにしか見えないんだもん。


「雅人。お前…いい加減にしないと葵ちゃんに怒られるよ~?素直に聞いてました。って言え。」


神谷…日頃葵ちゃんって言わないくせに…。


「お前が葵ちゃんとか言うな。」


小さくなっていた塊が動き、膝を抱えたままで顔をあげた。


「柏木…あんたも…起きてたね~?いつからタヌキになったんだ…?ん?」


笑顔で柏木君に話しかける葵だけど…なんか怖いよ…。


「ヒッ!!いや…まぁ…恋してよかった。とか言ってたらへん…?」


おそるおそるしゃべる柏木君。


なんで…あなたまでそんなタイミングが…。


「もぉー…!!!!バカッ!!!」


「いてっ!」


ぺしっと頭を叩いただけで葵の照れ隠しは終了。


「でも…、聞いてたんだったらもうわかったでしょ。あれが私の本心だから。」


なんだ…!?葵が…デレてる…。


本心って言っちゃったよ…。


好きになってよかったとか…甘えてやるー!とか言ってたのに…。



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