桜の見える丘(仮)
『んじゃぁ、そんなこと言わなきゃ甘えるわけ?』
先ほど…葵が私に問いかけたのかと思った言葉は…神谷のものであって…。
私はその言葉に…あんなことを…!!!
「あ…あああああんた!!!おっ、起きてたの!?!?!?」
動揺を隠せない私…。
「えー?さっきまで寝てたけど。矢田が彼氏に甘えろよって言ってたとこらへんで目覚めた。」
な…なんてタイミングの良い奴…。って…悪い奴?
いやいや、どっちにしろあんな言葉を聞かれてしまってるわけで…。
かぁぁぁぁ…と赤くなる私の顔。
はぁーーー!!!もう…穴があったら入りたい!!!
ってかもう…自分で掘ってやろうか…!!!
あぁ…電車の中だ…。
もう…生きてけないぐらい恥ずかしい…。
『甘えたい』とか言っちゃったよ…。
「ってかさ、雅人。いい加減起きたら?お前も聞いてたんだろ?」
私の方に顔は向いてるけど、目だけを柏木君の方に向ける。
私と葵も柏木君の方を見るけど、スースーと小さくなったまま起きない。
「ほら。寝てるんだから…寝かしてあげなきゃ!!」
「は?雅人、起きてんだけど。えっ、気づいてないわけ?」