愛乗りシンドバッド
これはなんだか
とんでもない事に
巻き込まれるんじゃ――。

一瞬そう躊躇したが、
ともあれかくもあれ
バイクのセルを回す。

「ハイヨー、シルバー!」

ハルの高らかな
掛け声とともに、
俺は渋滞の隙間を
すり抜けていく。
車のクラクションが
さながら騎兵隊の
ラッパのようだ。

途中、さまざまな人の思いが
頭をよぎっていった。

『はやく行けよ』だとか
『何だよあの化け物は』とか。

やはり何か得体の知れない
力が身についている。
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