愛乗りシンドバッド
召し使いから借りた
金属製のランプの灯火を頼りに、
日干しレンガの簡素な階段を
ずっと上り続けていくと、
やっと明かりが漏れる
部屋があった。

顔だけ部屋の中を
覗かせると、

――いた。

ハルだ。

机に本を山積みにして、
何かを読んでいる。

背中を向けているし
紋章の入った緋色のマントを
まとっていたりで
わかりづらいが、
ターバンの布巻きから
パイナップルみたいに
はみ出している
エクステのような黒い髪が
ハルだと印象づける。

ロウソクに灯る光の中で
ページをめくる音が
心地良く思えた。

「ハル」

その音がぴたりと止まった。

「何してるんだ?」
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