愛乗りシンドバッド
む、なんだ?
何も同じタイミングで
消えなくても。

窓の外の遠くの宮殿の
灯りがあるからまだマシだけど
話の腰を見事に折ってくれたな。

およそ油が
底をついたんだろうが。

……それとももしや
誰かが吹いて火を消したのかと
ハルの手を離して
振り返ろうとしたら、
ハルがいきなり俺の手をまさぐり
引き寄せてきた。

そしてスルリと体の内側から
背中に手を回してきたのだ。

「ちょ……、は?」

明かりが無くなったことに対して
動揺してるというより、
それを待っていたかのような
一連の流れ。

拘束するほど力は強くなく、
それでいてきつく
体を密着させる。
ふいの抱擁にその体勢のまま
不覚にも固まってしまう俺。

ジャスミンの香りが
ふわりと嗅覚をくすぐった。
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