愛乗りシンドバッド
「……モルジアーナか。
ううむ……、よく来てくれた」

闇の中からようやく
うすらとハルの輪郭がわかる。

ほどけてしまったターバンを、
両手を上げて
今度は綺麗に結び直し、
髪の毛を一つに束ねて肩にかけ、
ついでに前髪を斜めに分ける。

最後に宝石をつけた
孔雀の羽を頭上にはさんだ。

ハルの振る舞いに
乱れはみえない。

さっきまでのことが
頭から離れないのは
俺が自意識過剰なだけだろうか。
むしろ出会った時のような
凛とした表情にも見えるし。

……はた迷惑なやつめ。
まあでもなんだ。
よかったとでも思うべきなのか?
誰か泣かしてこい。
ちくしょーめ。

一方モルジアーナといった
召し使いは、
ブロンドで薄い亜麻の織物を
頭から襟足にかけて被せていて、
急須みたいなランプの
小さな灯だけだから
足元はなんともわかりづらいが、
昼間のハルみたいな
衣裳を足首で搾る
動きやすそうな
ラフな格好をしていた。

ハルに負けず劣らずの
男勝りな感じだ。
きっと従順ではあるが
堅物で怒るとおっかない
女性だろう。

……関係ないけど
こういう人ってたいがい
月経が重たいんだよな。
< 151 / 188 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop