愛乗りシンドバッド
彼女はまた
ハルのほうに向き直し、
刃についた黒い血を
ゆっくりと両手で拭いだす。

……どちらかというと俺は
ただの被害者な気もするが、
この人に何を訴えても
無駄な気がする。

恐ろしい気配が
プンプンしてきた。

いくら魔に
取り込まれたっつったって
人の子供なんだから
ちょっとくらい
ためらったって……。

……あれ?待てよ。

俺の心に反応したのか
揺らめく灯と影の中で、
ハルと目があった。

ハルは自分のことを
魔人だと言っていなかったか?
この人はそれを
知らないのだろうか。
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